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社会:構造計算偽装問題、求められる解決

 大学に入った頃、建築関係の仕事をしている父親から、「建築に進むなら構造をやれ」と言われたことがあります。

 建築は意匠・構造・設計・設備に大きく分野が分けられますが、父親の考えではまず食いっぱぐれないのが「構造」なのだそうです。

 そりゃそうですよね。建物を建てる仕事なわけですから、まず「建つ」ことが大前提。
 そのためには構造計算は不可欠で、どんな奇抜な意匠やセンスない設計であっても、構造計算という裏付けさえあれば、建物は立派に建つわけです。


 結局、僕は建築と袂を分かち、いまでは何の関連もないシステム屋としてご飯を食べているわけですが、この父親の言葉は今でも印象強く頭に残っています。


 だから、今回の構造計算偽装問題には決して無心ではいられません。

 建築とは離れたといっても、大学は建築科にいたわけですし、父親はまだ現役として建築業界にいますから、当然無縁ではありません。
 ましてや二児の父親となり、そろそろ家を購入しようかどうか、真剣に考え始めた年代です。

 つい先日もモデルルームを見に行こうと思い、当日の朝に物件のHPを開いたところ、それが今話題のヒューザーの物件で、HPが一晩にして根こそぎなくなっていたということもありました。


 偽造された物件を購入された方の無念は、察するに余りあるところです。
 これほど理不尽な話もないとは思いますが、一連の報道を見る限り、とても素人に予防できるような話ではないと思います。

 いきなり自治体が保障の話を持ち出すのは性急過ぎる気もしなくはないですが、とにかく被害に会われた方のお気持ちが平らになることが先決でしょう。

 当事者(これを決めることでもめているようですが)の企業の方々は、責任のなすりあいをする前にまず補償のための資金を捻出して欲しいところです。
 偽装した者の言い訳を聞かされても、何も始まりません。


 もう一つ思うことは、もし仮に僕が父親の薦めに従い、建築士となって構造士となっていたら、どうなっていたんだろうという妄想です。


 今回、渦中の姉歯建築士は、生計のため圧力に屈したと理由を述べています。

 業界の人間でない僕などはその話を聞いて、「だったら建築士なんか辞めて別の仕事をしろ」と思ったものですが、実際に当事者だったとき、建築士である僕はその手の圧力に屈することなく良心を貫けただろうか、という疑問が残ります。


 システム業界はそのヒエラルキーが建築業界に非常に似ており、コスト構造もまたそっくりです。
 ですから似たような話はシステム業界でも充分起こりえます。

 実際にはもう「起こっている」といってもいいと思います。
 SIベンダー社員による個人情報の流出事件など、最たるものでしょう。

 システム業界もピラミッド型の業界構造が非常に強いため、下に行けば行くほどコストに対するプレッシャーは強くなり、それでいて仕事の内容はつらいという3K状態になっています。

 そのつらい状況でしかも収入が少ない中では、モラルハザードが起こっても無理からぬところかもしれません。

 今回の姉歯建築士に代表される偽装工作も、IT技術者による顧客情報の流出も、結局は経済的な不安に屈した結果です。


 また、偽装なんてものはプロの手に掛かればいくらでもなんとでもなる、というのも建築とシステム開発は似ています。

 応力の話を聞いてわかる人間は非常に少ないし、ガベージや負荷分散の話を一生懸命聞く顧客も多くはありません。


 つまり、専門家の作業なんてものは、手を抜こうと思えばいくらでも可能なわけです。
 だって、素人にはバレないんですから。


 これを防止するためには、確かに規制や監視も必要かもしれませんが、結局のところは専門家の良心に頼らざるを得ません。
 ましてや一連の偽装工作のようにプロが集団で顧客をだますようなスキームが作られてしまうと、もう手の施しようがないわけです。


 しかしその結果、今回の偽装事件では「住まい」を失うという最悪の結果に行き着いた被害者が出てしまいました。

 人の暮らしを豊かにするはずの仕事が、逆に人の生活を脅かしてしまったわけです。


 久しぶりのビッグスキャンダルに、TVのワイドショーは盛んに視聴者の不安を煽り、政治家やカネの話に結び付けて、話題の拡大を狙っているようです。
 姉歯建築士やヒューザー・小嶋社長の証人喚問がどうのとか、自治体の補償政策がどうとか。


 しかしそんなことが本当に今、考えるべき問題なんでしょうか?


 被害者への補償問題は、関連企業の資産、会社役員の資産凍結などをふくめ、法改正してでも対処すべき緊急の課題なので、議論する必要もありません。

 しかし多くの、これから住まいを手に入れようと考える人たち、あるいは自分の住まいが偽装の餌食になっていないかと考える人たちの不安を解消することが、解決すべき本当の課題だと考えております。


 いまさら姉歯さんや小嶋さんの話をいくら聞いても、鉄筋の量が増えるわけではない。
 そんなことは暇な国会議員にでも任せて置けばいいのです。


 国はどの業界でもそうですが、大企業のことばかりを心配し、末端の人間の生活までを真剣に考えたことはなかった。
 だからバブル崩壊で同じように苦しんでいても、大企業には公的資金を投入し、零細企業や個人事業主を見殺しにしてきた。

 そうやって追い込まれた力の弱い立場の人たちは、生きるためにモラルを破ってでもお金を稼ぐ必要があった。


 こういう悪循環を打破することこそが求められているのであって、今回起こったことの様々な出来事を逐一あげつらう必要はないのです。


 システム屋をやっていて、「技術に対価を払う気持ちはこの業界にはないなぁ」と最近は強く思います。

 同じ100万円を月に支払っても、最低限のことしかできない技術者もいれば、感動すら与えてくれる技術者もいます。
 技術者とは本来、後者であるべきはずなのに、お金は前者の2流技術者と同じ額。
 これではやる気など出ようはずもない。

 しかも世の中の流れは「いわれなきコスト削減」であり、技術者の技術力を評価する流れは全くと言っていいほどありません。


 おなじことが建築業界でも起こっていたのではないでしょうか?


 僕は建築家を断念した人間です。
 なんとかシステム屋になれてご飯が食べられるようにはなりましたが、結局夢破れた人間です。
 それだけに建築業界への羨望は人一倍強い。


 そのなかで、人気はないが必要不可欠な、まさに縁の下の力持ちである構造技師の名誉を傷つけるような今回の事件にはひどい憤りを感じます。

 ですが、おきてしまったことをとやかく言うより、今後どうすれば再発が防止できるか。
 ザル業界である建築業界を如何に引き締められるか。

 そして何より肝心な、「プロの良心」をどこまで取り戻せるのか。

 関係者には本質を見失うことなく、明日のための対策をご検討いただきたい。
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  1. 2006/01/06(金) 22:40:04|
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